導入事例Introduction Example

RFIDリーダーの 導入で実現した 製造・物流現場の改善

Last Update 2023.11.29

RFIDリーダーの 導入で実現した 製造・物流現場の改善

株式会社リコー様では、物流プロセスにおいてRFIDを採用し、納入品質向上および作業効率の改善を図るための革新的なアプローチを取られています。
同社では、複合機の出荷時に、納入品質向上のために物流加工(物流+製造)をしており、従来の納品先でのオプション組み付けではなく、あらかじめ物流拠点で本体に顧客ごとの要求に合わせたオプションが組み付けられて直送されます。これは納品作業の効率化だけでなく、オプション個別配送で追加発生する物流・梱包の削減などの環境負荷低減につながります。
この作業工程では多種・多数の治工具が使用さることから、品質の維持にはこれらの統一、定期点検(品質担保)、加えてソフトウェアツールではバージョン管理なども重要であり、同社では日々プロセス改善に取り組まれています。
今回は、静岡県御殿場市のリコー環境事業開発センター内の治工具の管理にて日常点検(有り無し点検)業務効率化と品質向上推進をご担当された、リコーデジタルプロダクツ グローバルRRセンター RM循環室の吉原様にお話を伺いました。

導入までの経緯と課題

複合機の製品保証工程における工程ツールのインストール(製品内部に検査データをインストール)作業では、従来SDカードをメインに運用をしていた。

先頭工程でSDカードをセットし、後半工程でこれを取り外すといった運用だが、その際にSDカードを外し忘れて市場へ流出してしまうというヒューマンエラーに起因する不具合もあった。

SDカードは生産ラインで使うため、1モデルあたり3~40枚必要とされ、複数モデル生産ラインではこれの相当枚数の管理が必要となる。

インタビューでお答えいただいた吉原さま・古沢さま

インタビューでお答えいただいた
吉原さま・古沢さま

2018年以前は点検票を使用した人による目視チェックで管理運用していたが、「点検時間が掛かる」・「点検ミス、点検漏れによる不具合発生」といった問題や困りごとが発生していた。

これへの対処として、2018年以降からは管理対象物にQRコードを添付し、QRコード読み取りシステムによる検査に運用を変更した。しかし、管理者へアラームが発信されることで未点検を防ぐといったメリットがあったものの、一方では従来の目視検査より点検時間が掛ってしまうという新たな課題をかかえることとなる。

複合機生産ライン

複合機生産ライン

課題解決

―工程チェックはRFIDリーダーをかざすだけ―

点検票を用いての目視チェック、そしてQRコード読み取りシステム導入によるチェック漏れ防止に続き、さらに業務効率化を図る方法を検討した結果、物流や販売の現場で広く活用されているRFIDに着目。

管理対象物にRFIDタグを貼り付けてリーダーを用いて瞬時に一括で読み取りし、アプリを用いて点検結果を電子化する運用に変更した。

これによって、点検精度の向上・ペーパーレス化・点検票の保管スペースの低減、さらに承認業務の電子化により、証跡の電子化、トレーサビリティ管理による品質向上が図れ、残る課題であった点検時間の大幅短縮も実現した。

この新たな運用方法を実現するために、対象物に取り付けるRFタグは対象物に合わせたタイプを選び、RFタグの読み取り装置としてゼブラ・テクノロジーズ製RFIDハンディリーダーを採用した。

ZEBRA社RFIDリーダーと点検アプリケーション

ZEBRA社RFIDリーダーと
点検アプリケーション

この選定では、あらゆる環境下で安定して高速にRFIDタグをキャプチャできること、RFIDとバーコード・QRコードの切り替えが容易であることだけでなく、海外工場での導入も視野に入れて世界中で調達可能であることを重視した。

RFIDリーダーの選定では、ゼブラ・テクノロジーズ社製品を含め3社のメーカー製品を比較検討したが、海外工場でも使用できることを考慮した結果、国ごとの法規を満たし入手性・サポート面も優れたグローバルトップサプライヤーであるゼブラ・テクノロジーズのRFIDリーダーが最適と判断した。

また、アプリケーションは自社で内製し、開発から運用までの期間は約半年と比較的短期間で実現している。

RICOH

RFID導入の効果

―もれなく瞬時に―

効果として顕著なのは作業時間の大幅な短縮と工程品質の向上である。

まず作業時間は、従来の点検票を用いての人による目視でチェック・記入する作業時間が1か月あたり約223分、そして QRコード読み取りシステムによる作業時間が1か月あたり約427分掛かっていたのに対し、RFIDを用いた点検では1か月あたり約13分になり、点検票を用いての作業時間と比較して1か月あたり約210分もの時間短縮を実現した。

実際に点検作業現場での取材時には、30秒程度で点検作業が完了していた。

QRコードのように対象物ひとつひとつの読み取りではなく、それらが多数配置されているエリアを覆うようにRFIDリーダーをかざすだけで一気にすべてのRFタグを高速に読み取ることができ、あっという間に治工具の有り無し点検が終わってしまう。

※点検対象数427点での作業時間
※1か月あたりの作業日数は20日で計算
※通信環境によって、作業時間は異なる
※機材の立ち上げ時間は省く

そして工程品質の向上面においては、点検票を用いての人による目視でチェックしていた頃には、 SDカードの取り外し等のチェック漏れで市場へ流出してしまうことがあったが、RFIDとアプリを用いて点検結果を判別することで、 SDカードの取り外し等のチェック漏による市場への流出はなくなった。

今後の展開

そして工程品質の向上面においては、点検票を用いての人による目視でチェックしていた頃には、 SDカードの取り外し等のチェック漏れで市場へ流出してしまうことがあったが、RFIDとアプリを用いて点検結果を判別することで、 SDカードの取り外し等のチェック漏による市場への流出はなくなった。

リコー環境事業開発センターの紹介

リコー環境事業開発センターは、「脱炭素社会」・「循環型社会」を実現するための課題に取り組む重要拠点。豊かな自然に抱かれた富士山の麓で、産官学連携のオープンイノベーションによる新たな環境事業の創出や、環境に配慮した製品の積極的な導入など、持続可能な社会の実現に向けた多彩な取り組みを行っている。

所在地:〒412-0038 静岡県御殿場市駒門1-10

ゼブラ・テクノロジーズ製RFIDリーダーを採用した選定理由

グローバルで使えることを念頭に置き、以下の条件を選定理由とした。

  • マルチOS、マルチプラットフォームに対応
  • 多様な環境でRFIDタグを高速キャプチャ
    (対応規格:EPC Class 1 Gen 2、EPC Gen2 V2)
  • RFIDスキャンとバーコードスキャンの切り替えが容易
  • 世界中で導入可能
  • 周波数範囲/RF出力 米国:4.5~34.5dBm
  • 欧州:4.5~34.5dBm
  • 日本(LBT):4.5~33dBm
  • 日本:4.5~27.5dBm
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